大阪高裁の控訴審判決に対する森永ヒ素ミルク中毒事件弁護団の声明が発表になったので、pdfとテキストの形式で掲載する。原告名はいずれも伏せた。転載自由。
弁護団声明
2026年2月4日
1 控訴審判決は、原審同様、除斥期間が経過したとして控訴人の請求を認めなかった。また、除斥期間を適用しても権利の濫用や信義則に反しないと判示した。
弁護団は、この度の控訴審判決に、大きな失望と憤怒の念を禁じ得ない。控訴審判決は、原審判決をなぞっただけの内容であり、終始細部まで分け入って判断しようとする姿勢は見えない。一言でいうならば、事なかれ主義判決と評価できるものである。控訴審の裁判官は、意見陳述での●●さんの慟哭の思いをどのように受け止めたのであろうか。
2 控訴審判決は、除籍期間の起算点につき、原審判決を維持した。令和5年6月23日に施行された手術は、平成7年12月時点の診断で認定された損害と牽連一体のものであるとして、質的に異なる損害が生じたとは認められないとした。しかしながら、この問題を解明する上で重要な視点は、本件が、乳児の段階で、継続的にヒ素入りミルクを飲まされたという前代未聞の異常な事件であるということである。乳児の段階でのヒ素の継続的投与がもたらす、その後の経緯については、予測は不可能であり臨床的にも解明されていない。アテトーゼ型脳性麻痺等に関する一般的知見だけを重要視するのではなく、予後の健康状態につき予測不可能な特殊事案であるということに配慮すべきであった。
3 また、控訴審判決は、権利濫用および信義則違反の判断について、平成19年に、控訴人が弁護士に依頼して、ひかり協会と交渉していた事実をことさら重視している。しかし、控訴審判決には、ひかり協会が、設立以来、被控訴人と癒着し、重症患者に対する補償を切り捨ててきた経緯、その実態について、なんら踏み込んで検討した形跡も見られない。また、テレビ放送の中での菊地特別顧問の発言についても、当時菊地氏が被控訴人の代表権を持っていなかったという形式論理に終始した。そこでは、テレビでの菊地発言を聞いた被害者がどう受け止めたかという視聴者の視点が完全に欠落している。
4 以上のように、控訴審は、本件を正対して解明しようとせず、社会的弱者救済という司法の任務を放棄した。弁護団は、控訴審判決を糾弾するものである。
森永ヒ素ミルク弁護団
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1.WHO [世界保健機関] 搾取的粉ミルクマーケティングの衝撃的レポート [1] [2] [3] / WHOが乳幼児食品業界に対し搾取的粉ミルクマーケティングの中止を要求 [1] 粉ミルクとタバコは、国際的な販売禁止の勧告がある唯一の二つの製品である [ 2 ] [3] / 2.United Nations University Press [国際連合大学出版] 技術と産業公害> 森永ヒ素ミルク中毒事件 [English Version] [1] /3.Report of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident [English Version] [1] [2]
©森永ヒ素ミルク中毒事件資料館
©Museum of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident