2026年2月15日 09:47
(2)また、原判決は、「原告は、現行の救済・解決方針の枠組みの中で異を唱えることによる不利益を恐れたと主張するが、原告は、平成19年頃には弁護士を依頼してひかり協会に対して補償額を増やす交渉を行ったと述べており(原告本人)、本件訴訟を提起するまで全く行動を起こすことができなかったわけではないから、原告による被告に対する権利行使を期待し得ない状況にあったとはいい難い。」と判示する。
しかしながら、控訴人は、障害年金の受給を執拗にすすめ、自身の負担を減らすことに躍起になるひかり協会に異を唱えるべく、補償についての増額を求めていた経過でまったくらちがあかないことから、前述の菊池氏の発言も踏まえ、被控訴人に対して直接慰謝料の支払いを求め本訴訟を提起したものである。
ひかり協会は、同協会の予算の大半が職員の給与に回り、被控訴人を忖度する者がその運営の主流を握り、その結果、恒久対策案のほとんどが実施されないばかりか、不明瞭な補償が平然と横行し、或いは(原告を含む)重度被害者に対する補償が制限される(重度被害者が切り捨てられる)等の状況にある。
被控訴人は、そのようなひかり協会を長年にわたって自身の隠れ蓑として利用してきたものであるが、現行の枠組みを通り越してそのような被控訴人に対して直接の請求を行うことが控訴人にとってどれだけ勇気を要することであったか計り知れない。
原判決は、この点についての理解に欠けるものである。このことは、以下に述べるひかり協会及び被告により被害者の個別請求が事実上閉め出されていた事実からも首肯できるところである。
(3)森永ミルク中毒被害者の会は、恒久対策案の重要項目として、(1)死者の損害賠償、(2)過去の損害の損害賠償として掲げ、三者確認書においても「恒久対策案」実現のために努力することを確約するとしていた。
しかし、「団体」の「民主的討議」の名の下に被害者の会と財団法人ひかり協会は一体となって「自制」し、個人請求すら65年にわたった経過の中で事実上閉め出しの「法的状態」と化していたものである。その裏付けとなる事実をいくつか列挙する。
①前野直道氏の証言(甲91)
ひかり協会の理事長である前野直道氏は、別件訴訟の証言において、「山田さん」「榎原さん」「横田さん」という名前を挙げて、ひかり協会の方針に従わずに個人として個別の請求を求める人物を嫌悪し、排除してきた事実を縷々述べている。
②大槻高氏の発言(甲72)
森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会の副理事長であった大槻高氏は、「守る会の組織を大切に」という投稿を守る会機関紙に投稿し、「自分の意思を通す為に言論結社の自由をふりかざすのでは真の民主的権利といえない。それは会員の手によって作りあげた規約、組織原則を、会員が守ることと、社会一般、国民一般がもっている言論結社の自由との混同である。」と述べ、個別的な動きを否定する論述を展開している。
③能瀬英太郎氏の批判
ひかり協会が恒久対策の1割しか実現していない等の批判を展開していた能瀬英太郎氏は、名誉棄損を理由に森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会を被告として訴え、同訴訟の勝訴が確定している。
能瀬氏は、恒久対策案の完全実施を求める有志で作成した「森永ヒ素ミルク中毒事件発生から50年 被害者救済事業の実施状況」(甲78)のあとがきにおいて、
「この冊子を読まれた方は、私がひかり協会を批判しているのか、守る会を批判しているのか分からず、混乱されると思います。それは書いている本人も感じていることなのです。
実はそのことが救済を後退させている元凶だと私は思っています。ひかり協会の理事長も副理事長も守る会の出身です。後者は守る会の現理事長を兼任しています。その他多数の守る会役員がひかり協会の理事などを兼任しています。 両方の組織は一つの考えで統一されてしまっているようです。
その結果、力の強い方に引きづられていきますが、それは予算を執行するほうです。守る会はひかり協会の下請け会社のようなものです。
その上、両方の機関紙を編集しているのは同一人物です。
ひかり協会と守る会の機関紙は、両会とは異なる考えは猛烈に批判しても、自己に対する批判は一行たりとも掲載しません。
ひかり協会の役員は「30年も存続したこと」を誇らしげに吹聴しますが、救済事業より存続するほうが大事なようです。
「自己の存続こそがひかり協会の目的であり、そのために守る会があり被害者が存在する。」というのが、ひかり協会役員の本音のようです。
やっきになって異論を排除する理由もこのへんにありそうです。」
(甲78)と述べている。原告側弁護団 『訴訟上の救助の申立書』より
【参考記事】最高裁への問題提起
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1.WHO [世界保健機関] 搾取的粉ミルクマーケティングの衝撃的レポート [1] [2] [3] / WHOが乳幼児食品業界に対し搾取的粉ミルクマーケティングの中止を要求 [1] 粉ミルクとタバコは、国際的な販売禁止の勧告がある唯一の二つの製品である [ 2 ] [3] / 2.United Nations University Press [国際連合大学出版] 技術と産業公害> 森永ヒ素ミルク中毒事件 [English Version] [1] /3.Report of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident [English Version] [1] [2]
©森永ヒ素ミルク中毒事件資料館
©Museum of Morinaga Arsenic Milk Poisoning Incident