search

記事テキストアーカイヴ

ここには外部サイトに発表した記事をテキストベースで保管しています。

資料館は2010年にウェブサイトを立ち上げ内外で数百本の記事を発表しました。

ただ分散し旧サイト設計では読みづらく皆さまにご不便をおかけしてきました。

新サイトでは集中管理すべく再度まとめていきます。

文字データの保管を優先していますので記事により一部体裁が崩れる場合があります。あらかじめご了承下さい。

記事タイトル

家庭内性暴力の訴えを棄却した最高裁

見出し画像

家庭内性暴力の訴えを棄却した最高裁

23

森永ヒ素ミルク中毒事件資料館  岡崎久弥

森永ヒ素ミルク中毒事件資料館 岡崎久弥

2025年6月5日 15:01

裁判官は騙される?

 以前、あるニュースで、元裁判官が司法修習生によい言葉を掛けているという。なんだろうと思ってみると「裁判官はだまされることもあるんだよ」「だから頑張って」みたいなことを、若い修習生に語っている風景だ。気になったのは、言い方が実に軽かったことだ。笑いを忘れてしまった。写真入りで「まことに微笑ましい」雰囲気。ただひとつ、裁判官が不当な判決を書いて、それが結果的に覆ったときの言い訳が「騙された」であることだけがわかった。
 あなたが口にする「だまされた判決」で、どれだけの人々が苦しんだか、それを語ったほうがよい。

 では、このたびの森永ヒ素ミルク中毒事件の大阪地裁一審判決(野村武範裁判長)は「騙されて」書いたのだろうか?

 「騙された裁判官による」ものではない。言外で「どうだ、反論できるか?」といいたげな挑戦的な構成になっている。除斥の起算点を弁護団が主張した疾病の告知日にしたことが、何よりの証拠だ。
 実は、森永事件の一審判決の一週間まえに、別のある事件での判決がでていた。これに習ったとおもわれるのが、騙されていない第二の証拠。
 酷い判決だ。実の父親にレイプされた被害女性の訴えだ。

父にレイプされた娘の告訴を「除斥」で棄却

 実の父親にレイプされた女性が父親を訴えた裁判で、最高裁(平木正洋裁判長)は「除斥」でその訴えを斥(しりぞ)ける判決を確定した。2025年4月の最高裁判決で確定した。歴史的に記録する価値がある、鬼畜な「判例」の登場だ。これがこの先、実父からのレイプ被害女児を泣き寝入りさせるために悪用され続ける。

世間知らずの非常識判決

 女性は小学4年から中学2年まで実父からの性的虐待を受け続けた。女性は2020年に提訴し、除斥適用の恐れがあるため、PTSD(心的外傷ストレス症候群)の症状を発症した2018年を起算点として主張したが、最高裁は、これを認めず、10代後半にすでに精神的苦痛がうまれていたから、女性が二十歳になる1998年に起算点をずらして、それでも除斥が適用できるとして棄却した。裁判官が全員この判断を下したらしい。

訴訟を起こすのが困難な被害者を二度叩く

 まともな常識からみると、この最高裁の判断は狂っている。幼少期から中学2年になるまでレイプされつづけた娘が、実の父親を訴えるまで、どれだけの年月の葛藤が必要か? むしろほとんどの被害者が泣き寝入りしているのが実態だろう。
 被害者は、家族集団からの心理的拘束と父親からの心理的拘束の支配下におかれ、いったん告白した場合に当然予想される、世間からの好奇の目と差別意識の迫害におそれているから、裁判へのアクセスがそもそも困難だ。こんなことを裁判官は一顧だにしていない。
 女性は、被害で叩かれ、裁判所ではねつけられて、二度三度と叩かれる。
 痴漢でさえ、世間の女性は経験していてもめったに口にしない。レイプとなれば尚更だ。こんなことは今や常識のレベルではないか。
 ところが、裁判所は、なにがなんでも除斥を適用して、勇気ある告白者を放逐する。

公判期間中、実父からレイプ被害の小学生が飛び降り自殺

 昨年、2024年4月、東京都のあるタワーマンションから小学6年生のA子さんが飛び降り自殺した。
 雑誌『週刊文春』によると、同誌が昨年5月24日にこの事件を発表した段階では、警察は、監護者性交等罪の疑いで父親を逮捕して調べているとある。だが、警視庁は自殺と父親からの性的虐待、この二つの事実をそもそも発表していなかったらしい。メディア報道もないとのことだ。教育委員会も何も答えない、と書かれている。

 こうして事件が葬られている。
 
 かたや実父からのレイプで、精神疾患で苦しみ続け、ようやく裁判をおこしたら、「除斥」で棄却だ。女の子は、この裁判のニュースを見たのかもしれない。

※追記 この問題を書いたとたん、家庭内性暴力の体験が数々よせられている。最初は、それを紹介するのがはばかられたが、それは、この違法行為を隠蔽することにもつながる。寄せられるということは、知ってほしいという気持ちの裏返しかもしれない。完全匿名でいくつか「パターン」を紹介していくべきかどうか迷っている。まだ決断はつかない。

国家犯罪に国家司法が免罪符を与える。

 森永ヒ素ミルク中毒事件に戻る。
 2025年4月22日の、大阪地裁判決でも、重症被害者の疾病告知日までさかのぼって起算点を設定し、苦しみ抜いた期間が20年を越えているからと、棄却した。
 狂っている。弱い立場に置かれた、特に重症被害者は治療と生活で、生きていくだけで精いっぱいであり、そのなかで、迅速に裁判をおこさなかったからと、「除斥」を適用して棄却するなど人間のやることではない。国が森永の代わりに前面にでて、日本中の医師を統制し、医療から排除し、被害者の疾病を不可逆的なものにした事実をどう考えているのか。企業犯罪であると同時に、まぎれもない国家犯罪であり、国家犯罪の免罪を国家司法が強行している。
 どうせ裁判に訴えても、正義など得られないと思われる社会に裁判所自らがしている。統一協会二世被害者の山上徹也被告が引き金を引いた背景にもあることではないか?

裁判官は体験しないとわからないか?

 この粉乳ヒ素中毒被害の想像を絶する深刻さが理解できない裁判官は、静かな森にでも出かけて瞑想にふけってみるとよい。
 自分に可愛い孫ができた際に、自分の手でヒ素入りミルクを飲ませた場合を想像してみるとよい。全身の皮膚が黒色化し溶けてただれ落ち、高熱にうなされ、悲鳴にも等しい泣き声で叫びながら、連日連夜、あえぎ続けるあなたのかわいい孫は、当然ながら毒ミルクをそれ以上のみたくないから吐き出す。それでも、あなたは、連日地元紙に森永の大きな広告が掲載され、地元の県職員から「森永の粉ミルクがいいよ、これにかえなさい」と確信をもって囁かれた言葉を信じて、嫌がる乳児に「唯一の栄養源だからもっとしっかり飲みなさい」と、ヒ素ミルクを無理やり与え続ける。

裁判官も人間のはずでは?

 あなたが孫の口に哺乳瓶をむりやり含ませた回数に比例して、ヒ素が孫の体内に注入される。ヒ素は血液脳関門を通じて脳細胞に取り込まれ、脳内の血管を物理的に破壊する。したがって症状は医学の想定などはるかに超えるものとなり、急性症状も悪化するが、慢性症状の後遺症群の種が孫の体中にまき散らされる。あらゆる障害が生まれ、脳性マヒや、肢体不自由など枚挙にいとまがない。
 胸腺への打撃も潜行する。胸腺は免疫細胞の訓練機関だから、被害者はあらゆる感染症に弱くなる。事件被害者の親が、我が子は風邪を引きやすいと感じていたのも錯覚ではなく根拠がある。

いいなと思ったら応援しよう!

チップで応援する

すべてのタグを表示

23

2

森永ヒ素ミルク中毒事件資料館  岡崎久弥

森永ヒ素ミルク中毒事件資料館 岡崎久弥

フォロー

1955年、原乳の腐敗を隠すため産廃由来のヒ素混入物質を投入した森永乳業の粉ミルクで130人以上の乳児死亡、1万3千人の患者。反省なき森永は国を使って20年に亘り救済運動を弾圧。不買運動で倒産寸前となった森永は渋々救済案に応じるが、以降も不正な工作を続け2022年再び提訴された。

  1. トップ

  2. 社会問題・時事

  3. ジェンダー・LGBTQ+

23

家庭内性暴力の訴えを棄却した最高裁|森永ヒ素ミルク中毒事件資料館 岡崎久弥

https://note.com/no_more_morinaga/n/ne5fde0844cb0